I. ねんどろいどカスタムの魅力と「ディープな世界」への誘い

ねんどろいどカスタムは、既存のねんどろいどフィギュアを改造し、自分だけのオリジナルキャラクターや、公式には存在しないキャラクターを創造する奥深いホビーです。
この趣味は、単にフィギュアを加工する技術的な側面だけでなく、個人の創造性を存分に発揮し、愛着のあるキャラクターへの深い愛情を形にする手段として、多くの愛好家を魅了しています。その表現の幅は無限に広がり、最終的には「机の上に推しがいる生活」という、日常に喜びをもたらす特別な体験を実現します 。
ねんどろいどカスタムには、主に三つの主要な方法が存在します。
1)既存パーツの色を変えたり、オリジナルの模様を加えたりする「塗装カスタム」
2)パテなどを用いてパーツの形を大きく変えたり、全く新しいパーツを造形したりする「立体カスタム」
3) ねんどろいどどーるのボディと組み合わせ、布製の服を自作して着せ替えることで、よりドールに近い楽しみ方ができる「布を使ったカスタム」
これらの技術を組み合わせることで、愛好家は既製品では満たされない「自分だけの推し」を創造し、よりパーソナルで深い満足感を得ることが可能になります。これは単なる消費活動を超え、創造的な活動として、ファンが「推し」との関係性を深める能動的な「推し活」の一形態と言えるでしょう。

本記事では、ねんどろいどカスタムの基本から、各パーツ(髪、顔、ボディ、小物)ごとの具体的なテクニック、そして仕上がりを左右する塗装の秘訣まで、その「ディープな世界」を徹底的に掘り下げていきます。さらに、実際にカスタムを手がける愛好家たちの貴重なブログや動画のリンクを厳選し、その内容を詳しくご紹介することで、読者の皆様が自身のカスタムに挑戦する上での具体的なヒントやインスピレーションを得られるよう構成されています。
II. ねんどろいどカスタムの基本と全体像

ねんどろいどカスタムは、多岐にわたる技術と材料を組み合わせることで、無限の可能性を秘めた趣味です。この章では、カスタムの種類、始める前の準備、そして必要な道具と材料の全体像を解説します。
カスタムを始める前に:素体選びと互換性の注意点
カスタムを成功させるためには、土台となるベースキャラクターモデルの選定が非常に重要です。ねんどろいどには旧型と新型が存在し、パーツの互換性がない場合があるため、混在させないよう注意が必要です 。
フェイスパーツを選ぶ
グッドスマイルカンパニーの「ねんどろいどフェイスメーカー」を利用して好みのデザインを作成する方法や、「ねんどろいどどーる かすたむヘッド」のような何も描かれていないヘッドを使用する方法があります 。髪パーツは広範囲に色を変える楽しみがあり、塗装の練習にも適しています。フェイスパーツにうまく嵌まるものを選ぶことが、全体のバランスを保つ上で成功の鍵となります 。
ボディパーツを選ぶ
通常のねんどろいどボディのほか、可動性が高い「ねんどろいどどーる」を用いることで、より多様なポージングや布服カスタムが可能になります 。特に、ボディとフェイスの肌色の違いは完成時の違和感に繋がる可能性があるため、肌色の相性を考慮して選ぶことが推奨されます 。
ねんどろいどカスタムは、単一の技術ではなく、複数の専門分野の組み合わせによって成り立っています。この多様性は、初心者にとっては敷居が高く感じられるかもしれませんが、闇雲に始めるのではなく、どの部分をカスタムしたいのか、どのような完成形を目指すのかを事前に計画することが成功の鍵となります。
特に、パーツの互換性の問題は初期段階での計画不足が原因となることが多いため、事前の情報収集が不可欠です。読者が自身のスキルレベルや目標に合わせて、適切なカスタム方法と必要な準備を理解できるよう導くことで、無理なくカスタムの世界に入り込むことができるでしょう。
必要な道具と材料の全体像
カスタムの種類に応じて様々な道具が必要となりますが、基本的なものとしては、塗料、パテ、ヤスリ、筆、マスキングテープ、接着剤などが挙げられます 。また、塗料や溶剤を使用するため、必ず換気を確保できる作業場所を用意することが必須です 。

ねんどろいどカスタムは、適切な材料選定と、素材の物理的特性を理解した上での加工が、作業効率と完成品の品質に直結します。
例えば、PVC素材は加熱することで柔らかくなり、加工が容易になるだけでなく、造形時のストレス軽減や破損リスク低減にも繋がります 。
また、真鍮線による補強は、完成後の耐久性を高め、長期的な作品の維持に貢献します 。これらの知識は、単なる作業手順ではなく、「なぜその材料を使うのか」「なぜそのように加工するのか」という深い理解を促し、より応用力のあるカスタム技術を身につける上で不可欠な要素です。
以下に、ねんどろいどカスタムにおける主要なツールと材料をまとめました。
ねんどろいどカスタム主要ツール&材料一覧
カテゴリ | 道具/材料名 | 用途 | 補足/ヒント |
造形用 | エポキシパテ | 形の作成・修正 | 軽量タイプ(速硬化)と高密度タイプ(微細造形向け)がある 。ハンドクリームやワセリンを離型剤として使用 。 |
ヤスリ | 表面の研磨、凹凸除去 | 粗目から目の細かいものまで複数サイズ用意。スポンジヤスリは使いやすい 。 | |
カッター/ニッパー/彫刻刀 | 大まかなカット、形作り | PVC素材は温めるとカットしやすい 。 | |
ヘラ | パテの成形、均し | 細かい曲線を作るのに便利 。 | |
ピンバイス/真鍮線 | 軸打ち補強 | 折れやすいパーツ(アホ毛など)の補強に 。 | |
おゆまるくん | パーツの型取り | 顔パーツの型取りに手軽で便利 。 | |
塗装用 | 塗料 (水性アクリル, エナメル, ラッカー) | 色付け | 塗料の種類によって特性や相性が異なる 。換気必須 。 |
プライマー | 下地処理、密着性向上 | スプレー式が便利 。 | |
サーフェイサー | 表面の凹凸・傷消し、発色向上 | 灰色で造形確認、白で最終下地を均一に 。 | |
細筆 | 細部の塗装 | ねんどろいどのような小型フィギュアに適している 。 | |
マスキングテープ | 塗り分け、保護 | 塗られたくない部分に貼る 。 | |
持ち手棒 | パーツ固定 | 手に塗料がつかず、綺麗に仕上げられる 。 | |
うすめ液/溶剤 | 塗料の希釈、筆の洗浄 | 塗料の種類に合わせた専用品を使用 。 | |
仕上げ用 | トップコート (つや消し/ツヤ) | 最終コーティング | 塗料の保護、質感調整。ねんどろいどにはつや消しが推奨される 。 |
UVレジン | 目の立体感、塗装面保護 | アクリル塗料の剥げ防止に有効 。 | |
安全対策 | 換気設備/塗装ブース | 有害物質の排出 | 屋外作業が最も安全。屋内では塗装ブースを検討 。 |
手袋/保護具 | 火傷・怪我防止 | 加熱作業や刃物使用時に推奨 。 | |
その他 | 新聞紙/ダンボール | 作業台の保護 | 塗料の付着防止 。 |
接着剤 (エポキシ接着剤/瞬着) | パーツの接着、補強 | 各種パーツの固定、強度補強に 。 |
III. 各パーツ別カスタムの深掘り

ねんどろいどの各パーツは、それぞれ異なるアプローチでカスタムが可能です。ここでは、髪、顔、ボディ・衣装・小物といった主要なパーツごとの具体的なカスタム方法と、その表現術を深く掘り下げていきます。
A. 髪パーツの造形と表現術
髪パーツは、キャラクターの印象を大きく左右する重要な要素であり、カスタムの腕の見せ所でもあります。
エポキシパテを使った造形と削り出しのコツ
髪パーツの造形には、エポキシパテが非常に有効です 。パテにはいくつかの種類があり、用途に応じて使い分けることが推奨されます。「ウェーブ・エポキシパテ 軽量タイプ」は硬化が早く(約3時間)、軽量であるため、多くのパテを盛る場合に適しています 。一方、「タミヤの高密度タイプ」は硬化に時間がかかりますが(約12時間)、その分作業時間を確保でき、細かい造形や時間をかけてじっくり作業したい場合に推奨されます 。
パテを盛った後は、完全に硬化する前に半乾きの状態でカッターや彫刻刀を用いて大まかな形を整えます 。その後、粗目のヤスリから目の細かいヤスリへと段階的に使用し、表面を滑らかに仕上げていきます 。特に、スポンジヤスリは柔軟性があり、細かい部分のヤスリがけにも適しているため、非常に使いやすいとされています 。パテ作業時には、ハンドクリームやワセリンを手に塗ることで、パテが手にくっつくのを防ぐことができます。また、パーツにパテを付着させたくない部分への離型剤としても機能するため、活用が推奨されます 。
既存パーツの加工:加熱とカットのテクニック
ねんどろいどの素材であるPVCは、お湯やドライヤーで温めると柔らかくなる特性を持っています 。この特性を利用することで、ナイフやニッパー、彫刻刀でのカットが格段に容易になります 。例えば、電気ケトルで沸かしたお湯にパーツを浸し、割り箸で取り出してキッチンペーパーで拭くといった方法が紹介されています 。ただし、加熱作業や刃物を使用する際は、火傷や怪我には十分な注意が必要です 。大まかなカットにはニッパーや彫刻刀が適しており、細かい削りにはリューターも有効なツールとなります 。
補強の重要性:真鍮線を使った軸打ち
アホ毛や一部の長い髪の毛など、構造上折れやすい部位には、0.5mmの真鍮線で軸打ちをして補強することが強く推奨されます 。これは、髪パーツに穴を開けて金属線を差し込み、芯を作る作業であり、完成後の耐久性を高め、長期的な作品の維持に大きく貢献します。
パテの種類ごとの特性やPVC素材の加熱加工、真鍮線による補強など、これらの情報は単なる作業手順ではなく、「なぜその材料を使うのか」「なぜそのように加工するのか」という深い理解を促します。適切な材料選定と、素材の物理的特性を理解した上での加工は、作業効率と完成品の品質に直結します。読者に対して、単に「こうする」だけでなく「なぜこうするのか」を伝えることで、より応用力のあるカスタム技術を身につけさせ、予期せぬ問題への対処能力も向上させることが可能です。これは、カスタムを「ディープな世界」として捉える上で不可欠な要素となります。
リンク集:髪パーツカスタム
- リンク先: https://oldno07.com/nendroid-custom/
- 概要: ねんどろいど「よめどろいど」の大まかな作成フローを紹介する記事です。素体選びから髪パーツ、フェイス作成、小物自作、塗装までの一連の流れを解説しています。特に、エポキシパテでの形作り、カッターとヤスリでの調整、塗装(マスキング、ベースカラー、メインカラー、つや消し)の工程が具体的に述べられています。
- カスタムの種類: 髪パーツ造形、フェイス作成、小物自作、塗装。
- 特徴/ポイント: 全体的なカスタムフローの理解に役立ちます。特にパテを使った造形と塗装の基本が分かりやすく説明されており、初心者にもおすすめです。
- リンク先: http://kasoubutoukai73.blog.fc2.com/blog-entry-60.html
- 概要: アーティストのセンター分けヘアスタイルを目指したねんどろいどカスタムのブログ記事です。ニッパーや彫刻刀、カッター、リューターを使った削り作業、ウェーブ・エポキシパテ軽量タイプを使ったパテ盛り、ハンドクリームを離型剤として使う方法、スポンジヤスリでの仕上げについて詳細に解説しています。
- カスタムの種類: 髪パーツ造形(削り・パテ盛り)。
- 特徴/ポイント: 髪型の具体的な改造プロセス、使用道具の選び方(軽量パテの利点)、パテ作業のコツ(離型剤の使用)が非常に参考になります。初心者でもイメージしやすい詳細な工程説明が魅力です。
- リンク先: http://zink.sub.jp/nendoro/2019/10/24/logmatome/
- 概要: ねんどろいどの髪パーツ改造ログです。エポキシパテ(タミヤ高密度タイプ、ウェーブ軽量タイプ)を使った削り・盛り付け、ヤスリがけ、サーフェイサー吹き、真鍮線での軸打ち補強について詳しく解説しています。パテ作業用のヘラやワセリンの使用方法、スポンジヤスリの利点、サーフェイサーの選び方(灰色と白)とエアブラシでの塗装についても触れられています。
- カスタムの種類: 髪パーツ造形(パテ、削り、補強)、塗装。
- 特徴/ポイント: パテの種類ごとの特性と使い分け、真鍮線による補強の重要性、具体的な道具のレビューが役立ちます。特に、耐久性を考慮した改造のヒントが得られます。
- リンク先: https://note.com/12_ymks/n/n703347b9518f
- 概要: オリジナルキャラクターのねんどろいど髪型リニューアルの改造方法を詳細に紹介する記事です。PVCパーツのお湯での加熱・カット方法、タミヤのエポキシ造形パテ速硬化タイプを使ったパテ盛り、ヤスリ作業、Vカラーシンナーを使ったPVCとパテの境目の処理、レジンでの複製による強度確保、塗装(ファレホ、イージーペインター)とツヤ消しスプレーについて解説しています。
- カスタムの種類: 髪パーツ造形(削り・パテ盛り・補強)、複製、塗装。
- 特徴/ポイント: PVC素材の加熱加工の具体的な方法、パテ盛りの試行錯誤、レジン複製による強度向上という上級者向けテクニック、塗装の仕上げまで、非常に実践的な情報が満載です。
B. フェイスパーツの表情豊かなカスタム
フェイスパーツは、ねんどろいどに個性と魂を吹き込む最も重要な部分です。デジタルツールから手描きまで、様々な方法で表情を豊かにすることができます。
ねんどろいどフェイスメーカーの活用法と注意点
グッドスマイルカンパニーが提供する「ねんどろいどフェイスメーカー」は、オンラインでオリジナル顔パーツを作成できる便利なサービスです 。目のサイズや位置、鼻の有無、眉の位置などを細かく調整し、2個で1,507円(税込)で注文が可能です 。
活用する上でのポイントとして、目のサイズは最大に、位置はなるべく下にするのが童顔を避けるコツとされています 。また、鼻の凹凸がないため、鼻パーツの追加も推奨されます 。しかし、このサービスには注意点も存在します。手持ちの髪パーツと合わせて確認できないため、イメージと異なる顔パーツができてしまう失敗のリスクがあることです 。さらに、印刷面は光沢があるため、ねんどろいどらしいマットな仕上がりにするには、つや消しスプレーを軽く吹きかけることが推奨されます 。
手描きメイクとUVレジン加工で命を吹き込む
「ねんどろいどどーる かすたむヘッド」のようなのっぺらフェイスに、水性アクリル塗料(ターナーアクリルガッシュなど)を使って一から顔を描くことで、キャラクターに命を吹き込むことができます 。細筆を使用し、目の色や眉の色、虹彩、ハイライトなどを加筆することで、細やかな表情を表現します 。
塗装後、目の部分にはUVレジン(ガイアノーツ UVジェルクリアRなど)を塗布することで、目の立体感を出すだけでなく、アクリルガッシュの塗装面を保護し、色剥げを防ぐ重要な役割を果たします 。
アイホール造形とレジン盛り:中級者向けテクニック
ねんどろいどどーるのフェイスパーツのメイクカスタムにおいて、アイホールの造形変更は中級者向けのテクニックとされています 。パテ盛りだけでなく、レジン盛りで造形する方法も紹介されており、ドール好きにもねんどろいど好きにも応用可能な技術です 。
型取り(おゆまるくん)の活用
顔パーツの型取りには「おゆまるくん」が手軽で便利です 。お湯で柔らかくしたおゆまるくんで、髪パーツで隠れる部分を含め、顔パーツ全体を覆うように型を取る方法が紹介されています 。首ジョイントを付けた状態で行うと、より正確な型が取れるでしょう 。
ねんどろいどのフェイスカスタムは、フェイスメーカーのようなデジタルサービスと、手描きメイク、さらには型取りやアイホール造形といったアナログな技術が共存しており、非常に幅広い技術の選択肢が存在します。これは、ユーザーが自身のスキルレベル、求める表現の自由度、そして予算に応じて最適な方法を選択できることを意味します。例えば、手軽にオリジナル顔を作りたい場合はフェイスメーカー、完全にオリジナルの表情や瞳を追求するなら手描きとレジン加工、既存のパーツをベースに微調整したいなら型取りといった具合です。このような多様なアプローチが、カスタムの敷居を下げると同時に、表現の深さも増しています。読者には、これらの選択肢を提示し、それぞれの利点と注意点を明確にすることで、自身のカスタム目標に合った最適なアプローチを見つけられるよう支援することが重要です。これは「ディープな世界」の多様性を体現するものです。
リンク集:フェイスパーツカスタム
- リンク先: https://m.youtube.com/watch?v=-iIpdxga5_g
- 概要: ねんどろいどどーるのフェイスパーツのメイクカスタム中級編動画です。アイホールの造形変更やレジン盛りでの造形方法を公開しています。初心者向け動画と併せて見ることで、より高度なカスタムに挑戦できます。
- カスタムの種類: フェイスメイク、アイホール造形、レジン盛り。
- 特徴/ポイント: 中級者向けの具体的なテクニックが動画で視覚的に理解できるため、実践的なスキルアップに繋がります。
- リンク先: https://yamadasewing.com/archives/17705
- 概要: 「ねんどろいどフェイスメーカー」の概要、利用方法、そして注意点について詳しく解説する記事です。目のサイズや位置の調整、鼻パーツの追加といった作成画面でのコツ、注文から到着までの流れ、そしてマットな仕上がりのためのつや消しスプレーの使用が推奨されています。
- カスタムの種類: フェイスパーツ作成(オンラインサービス)。
- 特徴/ポイント: フェイスメーカーを最大限に活用するための実践的なアドバイスが豊富で、失敗を避けるための注意点が明確に示されています。
- リンク先: https://ameblo.jp/eririn-made/entry-12761720161.html
- 概要: ねんどろいどどーるの顔パーツの型取りに「おゆまるくん」を使用する方法を手順を追って説明する記事です。お湯で柔らかくしたおゆまるくんで、髪パーツで隠れる部分を含め、顔パーツ全体を覆うように型を取る方法が紹介されています。
- カスタムの種類: フェイスパーツの型取り。
- 特徴/ポイント: 手軽に入手できる「おゆまるくん」を使った型取りの具体的な方法が分かりやすく、初心者でも挑戦しやすい内容です。
C. ボディ・衣装・小物パーツのこだわり
ねんどろいどのカスタムは、頭部だけでなく、ボディや衣装、小物にまで及びます。これらのパーツをカスタムすることで、キャラクターの表現の幅はさらに広がります。
ねんどろいどどーる化で広がる着せ替えの楽しみ
通常のねんどろいどフィギュアの頭部を「ねんどろいどどーる」のボディに付け替えることで、着せ替えが可能なドールへと変身させることができます 。これにより、布製の服を着せたり、様々なポージングを楽しんだりといった、新たなカスタムの可能性が広がります 。ねんどろいどどーるのボディは可動部位が多く、足裏の磁石で台座に安定して固定できるなど、ディスプレイの自由度も高い点が特徴です 。
布服の自作:生地選びと型紙の活用
ねんどろいどどーる用の布服は、人間用の服を作るのと同様に、紙で型紙を作成し、布をカットして縫い合わせることで作ります 。生地は、ローン生地やシーチングなどが使用例として挙げられています 。ダイソーなどの100円ショップで手軽に材料を揃えることも可能です 。濃い色の服を作る際には、ボディへの色移りを防ぐため、インナーを着せるなどの対策が推奨されます 。
型紙の作成が難しい場合は、市販のねんどろいどどーる用服作りの本(例: 『はじめてのどーる 布服レシピ ~ねんどろいどどーるサイズが作れる~』)を活用したり、既存の服を参考にしたりすると良いでしょう 。ブログで無料型紙が提供されているケースもあります 。
オリジナル小物パーツの作成:帽子やゴーグルなど
帽子やゴーグル、手持ちパーツなども、パテを使って自作することができます 。帽子のベースをファンドで作り、エポキシパテでゴーグルや髪パーツを造形していく詳細な工程が紹介されています 。プラ板、エナメル合皮、ワイヤー、透明プラ板といった多様な材料を組み合わせることで、複雑な小物も再現可能です 。制作時には、厚紙や方眼紙でイメージを固めたり、顔パーツに目や口を書き込んでバランスを見たりする工夫が重要です 。
ねんどろいどカスタムは、フィギュア造形だけでなく、ドールカスタムや裁縫といった異なる分野の技術を取り込むことで、表現の幅を大きく広げています。この「異素材・異技術の融合」こそが、「ディープな世界」を形成する重要な要素です。これにより、硬質なフィギュアのイメージを超え、柔らかさや動き、日常感といった新たな魅力をねんどろいどに付与することができます。特に布服は、季節やシーンに合わせた着せ替えを可能にし、キャラクターに「生活感」や「物語」を与える効果があります。読者には、既存のフィギュアカスタムの枠にとらわれず、様々なクラフト技術を積極的に取り入れることで、自身のカスタム作品に深みと個性を加えることができると示唆されます。
リンク集:ボディ・衣装・小物カスタム
- リンク先: https://www.youtube.com/playlist?list=PLHOYgNs8NV3UM_81fdqnFNxWzwEqVFSTb
- 概要: ねんどろいどカスタムに関するYouTubeプレイリストです。毛糸ウィッグの作り方や、ねんどろいどで擬人化ドールカスタム、フェイスメーカーを使った顔作成など、多岐にわたるカスタム動画が含まれています。
- カスタムの種類: 髪パーツ(ウィッグ)、ドールカスタム、フェイスパーツ(フェイスメーカー)。
- 特徴/ポイント: 動画で実際の作業工程を見られるため、イメージが掴みやすく、様々なカスタムアイデアのインスピレーションを得られます。
- リンク先: https://mctr.hatenadiary.jp/entry/nd_03
- 概要: ねんどろいど頭部パーツ(帽子、ゴーグル、髪パーツ)の自作方法を非常に詳細に解説する記事です。ファンドやエポパテ、プラ板、ワイヤー、エナメル合皮など多様な材料を使い、作図から造形、軸打ち、仕上げまでの複雑な工程を図解で説明しています。
- カスタムの種類: 頭部パーツ(帽子、ゴーグル、髪)の立体造形。
- 特徴/ポイント: 特定のキャラクターの頭部をゼロから作る上級者向けの内容ですが、各パーツの設計思想やバランスの取り方、材料の選定理由まで掘り下げられており、高度な造形技術を学びたい人に最適です。
- リンク先: https://yamadasewing.com/archives/17606
- 概要: ねんどろいどをねんどろいどどーる化し、そのドールに着せる服を自作する方法を詳しく紹介する記事です。ボックスプリーツスカートやリボン襟、袖口、ネクタイなどの具体的な生地選び(ローン生地、シーチング)や処理方法(接着芯、ほつれ止め液、アイロン接着テープ)について解説しています。ボディへの色移り防止策も触れられています。
- カスタムの種類: 布服自作、ねんどろいどどーる化。
- 特徴/ポイント: ねんどろいどどーる化の具体的な手順と、布服制作における生地の特性や細部の処理方法が非常に参考になります。
- リンク先: https://note.com/nagisa_hoshimori/n/nfc29b1df4be5
- 概要: ねんどろいどどーるの布服制作に関する情報です。DAISOなどの100円ショップで材料を揃えることでコストを抑えられること、そして『はじめてのどーる 布服レシピ ~ねんどろいどどーるサイズが作れる~』のようなソーイング本が実物大型紙付きで役立つことが紹介されています。
- カスタムの種類: 布服自作。
- 特徴/ポイント: 低コストで布服カスタムを始めるためのヒントと、具体的な参考書籍が示されており、初心者にも優しい内容です。
IV. 塗装の基礎から応用まで:美しく仕上げる秘訣

ねんどろいどカスタムにおいて、塗装は作品の完成度を大きく左右する重要な工程です。色を塗るという単純な行為に見えて、そこには多くの技術的知識と経験が求められます。
塗装の準備:換気、持ち手棒、下地処理(プライマー・サーフェイサー)
塗装作業を行う際には、いくつかの重要な準備が必要です。まず、塗料やスプレーは有機溶剤を含み、強い臭気を放つ場合があるため、必ず換気ができる場所で作業を行うことが必須です。屋外での作業が最も理想的ですが、屋内で本格的に行う場合は塗装ブースの導入も検討されます 。
次に、パーツを挟んで塗装を進める「持ち手棒」を使用すると、手に塗料が付着するのを防ぎ、綺麗に仕上げることが可能になります 。ダンボール箱や硬い粘土などを台として利用し、乾燥中にパーツが倒れないように工夫すると良いでしょう 。
塗装前の下地処理も仕上がりを左右する重要な工程です。パテ粉や離型剤(ワセリンなど)が残っていると塗料の密着を妨げるため、パーツが完全に固まってから石鹸やハンドソープで優しく洗浄し、よく乾かします 。その後、塗料の密着性を高めるためにプライマーを塗布します 。スプレー式のプライマーは手軽で便利です 。さらに、造形後の表面の凹凸や傷を消し、塗料の発色を良くするためにサーフェイサーをスプレーします 。灰色サーフェイサーで造形を確認し、白いサーフェイサーで最終的な下地を均一にすることで、塗料の発色が向上します 。
塗料の種類と特性:アクリル、エナメル、ラッカーの使い分け
ねんどろいどカスタムに使える塗料には、主に水性アクリル、エナメル、ラッカーの3種類があります 。それぞれの塗料には特性があり、使い分けと相性の理解が重要です。
- 水性アクリル: 最も弱い塗料であり、剥げやすいため、塗装後にUVレジンやトップコートでの保護が必須となります 。
- エナメル: 中間の強さを持つ塗料です 。
- ラッカー: 最も強い塗料とされています 。
塗料同士には相性があり、先に塗った塗料が溶け出す可能性があります。特に、水性アクリルの塗料の上に、エナメルやラッカー系のプライマーを塗るのは避けるべきです 。
スプレー塗装と筆塗りの使い分けとコツ
塗装方法には、主にスプレー塗装と筆塗りがあります。
- スプレー塗装: 広範囲を均一に塗るのに適しています 。一度に大量に噴射せず、薄く何度も重ねて塗ることで、液ダレや気泡を防ぎ、美しい仕上がりになります 。スプレーの開始地点と終了地点をパーツの外にすることで、塗料のムラを防ぐことができます 。
- 筆塗り: 細かい部分やリカバリー、特定のディテールを描くのに適しています 。ねんどろいどは小さなフィギュアであるため、細筆を使用することが推奨されます 。塗料はやや少なめに含み、乾かしてから重ね塗りすることで綺麗に仕上がります 。リカバリーの際は「塗る」のではなく「乗せる」ように塗料を置くと、筆跡が残りにくく、自然な仕上がりになります 。
失敗しないためのリカバリー術
塗装作業では、予期せぬ失敗が発生することもありますが、適切なリカバリー方法を知っていれば問題ありません。
- 気泡の処理: スプレー塗装でできた気泡は、細目のヤスリで潰して平らにします。この際、他の部分を削らないよう細心の注意が必要です 。
- 筆塗りでのカバー: 気泡を潰した部分や色が薄い部分、塗り残しは、スプレーのカラーをパレットに出し、筆で慎重にカバーします 。
- 最終スプレー: 筆塗りした部分は、どうしても段差や色の差が生じやすいため、最終的にもう一度全体に軽くスプレーを吹き付けることで、均一な仕上がりになります 。
最終仕上げ:トップコートで質感を変える
塗料が完全に乾いたら、トップコートでコーティングを行います 。トップコートには「ツヤ仕上がり」と「マット仕上がり(つや消し)」があり、お好みの質感を選べます 。ねんどろいどらしいさらっとした質感にはつや消しスプレーが推奨されます 。
トップコートも有機溶剤であるため、塗料が完全に乾いていない状態で大量にスプレーすると、下地の塗料やサーフェイサーが溶け出す可能性があります 。風のない晴れた日に、薄く何度か重ねてスプレーするのが成功の秘訣です 。
塗装は、塗料の化学的特性(溶剤、硬化時間、相性)、物理的な塗布方法(薄塗り、スプレー距離)、そして環境要因(換気、湿度、温度)を理解し管理する「科学」的な側面と、色の調合、グラデーション、ハイライトといった美的感覚を駆使する「芸術」的な側面が融合した分野です。特にリカバリー術は、失敗を恐れずに挑戦し、問題解決能力を高める上で不可欠な要素です。読者には、塗装が奥深く、試行錯誤を通じて技術とセンスの両方を磨ける分野であることを伝えることで、単なる手順の羅列ではなく、より深い探求心を刺激し、「ディープな世界」の核心に迫ることができるでしょう。
V. カスタムを成功させるためのヒントと注意点

ねんどろいどカスタムを安全に、そして楽しく継続するためには、いくつかの重要なヒントと注意点があります。
安全第一:換気と火傷・怪我の防止
塗料や溶剤は有害な場合があるため、作業中は必ず換気を徹底し、可能であれば屋外で作業することが最も安全です 。屋内で作業する場合は、塗装ブースの導入を検討するなど、適切な換気設備を整えることが不可欠です。
また、PVCパーツを加熱する際(お湯やドライヤー使用時)や、カッター、彫刻刀、リューターなどの刃物を使う際は、火傷や怪我に十分注意し、手袋や保護具の着用を検討してください 。安全対策を怠ると、思わぬ事故に繋がりかねません。
焦らず、少しずつ:乾燥と重ね塗りの重要性
カスタム作業は、焦らず、各工程で十分な時間をかけることが成功の鍵です。パテの硬化、塗料の乾燥、サーフェイサーやトップコートの乾燥には、それぞれ指定された時間を守り、急がずに進めましょう 。特にスプレー塗装やトップコートは、一度に大量に塗布せず、薄く何度も重ね塗りすることで、液ダレやムラ、気泡を防ぎ、美しい仕上がりになります 。乾燥が不十分な状態で次の工程に進むと、塗料が溶け出したり、表面が荒れたりする原因となります。
情報収集のすすめ:ブログや動画から学ぶ
本記事で紹介したような、実際にカスタムを行っている愛好家のブログやYouTube動画は、非常に貴重な情報源です。具体的な作業工程や使用道具、失敗談とリカバリー方法など、実践的なヒントが満載です 。特に、動画は視覚的に工程を理解するのに役立ち、ブログは詳細な解説や使用ツールのレビューが参考になります。これらの情報を積極的に活用し、自身のカスタム技術の向上に役立てましょう。
プロの技を学ぶ:レンタルスペースや業者依頼の選択肢
自宅での作業環境が限られている場合や、エアブラシ塗装など専門的な設備が必要な場合は、「秋葉原工作室」のようなレンタル工作スペースを利用するのも一つの手です 。これらの施設では、高価な設備を気軽に利用でき、専門的なアドバイスを受けられる場合もあります。
また、パテの強度に不安がある場合や、より完璧な仕上がりを求める場合は、レジン複製を専門業者に依頼することも可能です。費用はかかりますが、非常に綺麗な仕上がりが期待でき、作品の耐久性を高めることができます 。
ねんどろいどカスタムは単発の作業ではなく、継続的な学習と外部リソースの活用が成功に繋がります。この趣味は、個人の技術向上だけでなく、情報共有や助け合いといったコミュニティの側面も非常に重要です。失敗を恐れずに挑戦し、その経験を共有すること、そして必要に応じてプロの技術や設備を利用する柔軟性が、「ディープな世界」をより深く楽しむための鍵となります。完璧を目指すことよりも、試行錯誤を楽しみ、情報交換を通じて知識を深めることの重要性を理解することで、カスタムが孤独な作業ではなく、共有と成長の喜びを伴う活動となるでしょう。
VI. まとめ:あなただけの「推し」を創造する喜び

ねんどろいどカスタムは、時間と手間をかける分だけ、完成した時の達成感はひとしおです。
既存のフィギュアに手を加え、自分だけの「推し」を創造し、それを机の上に飾る喜びは、この趣味の最大の魅力と言えるでしょう 。それは単なる造形活動を超え、キャラクターへの深い愛情を具体的な形にする、非常に個人的で充実した体験です。
オンラインのブログや動画を通じて、同じ趣味を持つ仲間と情報や作品を共有し、互いに刺激し合うコミュニティの存在も、この「ディープな世界」をより豊かなものにしています。時には失敗を経験することもありますが、それもまた学びの過程であり、リカバリー術を身につけることで、さらに技術と経験を深めることができます。
本記事で紹介した情報は、ねんどろいどカスタムの「ディープな世界」の入り口に過ぎません。ぜひ、今回ご紹介したリンク先のブログや動画を訪れ、さらに奥深いカスタムの技術や表現の世界を探求してみてください。あなただけの「推し」を創造する旅は、まだ始まったばかりです。この創造的な活動を通じて、あなたの日常がより豊かで、感動的なものになることを願っています。
補足
カスタムねんどろいどは、買取店などで、取り扱いはできません。
自身で楽しむ物として、大切にしてください。